2013年10月18日金曜日
囲碁名人戦
昨日行われた第38期囲碁名人戦第5局は挑戦者の井山五冠が山下名人を下し、4勝1敗で名人位を奪取して幕を閉じた。
第1局は山下名人の快勝。2局目は井山五冠がお返しをして、第3局、小生でも気がついていた切断の味を井山五冠が見損じて逆転されたが、山下名人のコウ立ての手がダメ詰まりを招いて失着となり、再逆転で井山五冠が勝った。これが大きな分かれ目となって流れが傾いた。最終の第5局も名人が終盤、模様を大きくまとめて逆転し勝勢となったが、その後の見事な追い込みでこれも井山五冠が再逆転で勝った。井山五冠の強さと勝運が際立ったシリーズだった。
5局すべてをニコニコ動画で観戦させてもらった。1日目は時々覗き、2日目は午後から終局まで張り付いて見た。
第4局の解説で三村九段が、小生の目にはどうやっても活きそうにないと見えた井山五冠の大石を、「プロなら死ぬことはないとすぐわかる」と言っていたが、そのとおり見事にしのいで勝った。「強くなると攻めよりしのぎのほうが楽で、攻める場合はあらゆる可能性を読まなければならないが、しのぐときには一つ見つければよいからだ」という言葉も、実感としてわかるというのではないが、印象に残った。
最終局も誰もが井山五冠の負けを予想していたが、とても手のなさそうに見えるところへ打って、相手の模様に進入して活きてしまった。観戦していてその凄さに目を瞠ってしまった。
井山五冠は形勢有利でも不利でも殆ど態度に出ない。ひと目で千手という読みの力で、常に盤面に集中して最強の手を求めると言われる。その様子を逐一画面で見ることができて、ネットのありがたさを痛感した名人戦だった。
(2013年10月18日記)
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