2013年9月21日土曜日
「岩波講座 能・狂言」
2008年に法政大学能楽研究所の主催で行われた「表章が語る能楽研究の百年」の講演ビデオを<you tube>で見た。表氏が主導してきた戦後の能楽研究,とくに能の歴史的研究を中心に、江戸時代から今日に到る能楽研究のあらましを語った3回シリーズ、計5時間ほどの講演である。
表氏の熱を帯びた語り口に引き込まれて聴いていくうちに、能がその発祥の時期から、観阿弥・世阿弥による大成を経て、どのようにして今日のような上演形式に到ったのか、その過程を明らかにすることが能楽研究の本体である、という氏の言葉の重みが伝わってきた。表氏はもともと、なぜ今日のような、おかしな(!)演じ方を能がするのか、という疑問から出発したという。この<おかしな>という形容詞には非常に共感を覚えるものがある。かく言う氏の研究が歴史に向かうのは必然であった。その研究の内容をより詳しく知るために、氏が編者の一人としてまとめられた本講座をきちんと読む必要があると思った。
1987年に刊行された岩波書店発行の「岩波講座 能・狂言」全7巻・別巻1は、これまで謡会や能鑑賞の機会に関係するところのページをめくって読むことはあっても、全体を通読することはなかったので、今回は全巻を丁寧に通読しようと思い、第1巻「能楽の歴史」から始めている。読後、どのような果実がえられるか、楽しみにしながら読んでいきたい。
(2013年9月21日記)
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